名古屋市立中学校で起きたいじめ事件に関して、被害生徒側が警察への相談を検討していることを知った中村満名古屋市議(公明党、中村区選出)が、学校側に対して「警察への相談を止めることができる」と伝えていたことが指摘された。

発言の経過



 事件の経過は、中日新聞や毎日新聞が報じている。

 報道によると、いじめ事件は2015年に発生した。当時名古屋市立中学校1年だった女子生徒は2015年5月から6月にかけ、同級生から無視されたり、別の同級生を階段から突き落とすよう命じられるなどのいじめを受け、不登校になった。

 生徒の保護者は、いじめについて警察に連絡すべきかどうかを中村市議に相談した。中村市議は当該校とのやりとりをおこない、警察への連絡について「(学校側が)困るなら止めることもできる」と学校側に伝えていた。

 学校側はその発言を記録に残していた。学校側はその際、「生徒側の意思に任せている」と返答したことも記録されている。

 中村市議はマスコミ取材に対して、「やめることができる」発言については「やりとりのすべてを記憶しているわけではないが、学校がいじめの内容についてしっかり事実確認してからの方が良いというつもりだったと思う」としている。

 このいじめ事件については、学校側は当時調査をおこなったが、当事者同士の言い分が食い違っていて「真相がわからない」と判断した。生徒は名古屋市教委に調査の要望を出し、市教委は第三者委員会による調査を始めているという。

発言の問題点



 中村市議の発言は、学校側・被害生徒側の双方に圧力として働く可能性があったものである。

 警察への相談を検討しているが場合によっては取り下げさせることができると受け取れるような伝え方は、生徒側にとっては「市議が学校側と一緒になっていじめをもみ消す」と受け取れるような対応にもなりかねない。

 また学校側にとっても、いじめ問題の調査にとって圧力にもなりかねない。

 やはり、不用意な発言と言わざるをえないのではないか。

(参考)
◎名古屋・いじめ 「警察への相談、止められる」 市議、学校に発言(毎日新聞 2018/4/20)
◎いじめ相談「警察への連絡止められる」 名古屋市議、学校に伝える(毎日新聞 2018/4/20)
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