愛知県立犬山高校(犬山市)のサッカー部で、「学業成績が振るわない部員は丸刈り」という部内ルールを策定していたことが、5月2日までにわかった。

 学校側は状況を把握し、2017年度にルールを廃止した。

ルール策定の経過



 報道によると、同校では2011年~2012年頃に、当時の顧問教諭と部員との協議で、各教科の5段階評価で1をとった部員に対して、丸刈りにすることや、練習の準備や後片付けをさせるといった独自ルールを策定した。そのルールが数年間にわたって受け継がれていた。

 2016年になり、丸刈りにしなかったある部員が、練習参加を拒否された。そのことを知った保護者が、学校に苦情を出して発覚した。

 学校側は2017年にルールを撤廃させた。

「教諭が(直接)強要したわけではないので問題なし」:しかし広義の強要では



 学校や愛知県教委は丸刈りについて、教諭が強要したわけではないので「体罰」とは考えていないとした。

 一方で学校側は、「当時の部活動立て直しの意図があったと聞いている」「髪を切るような指導は、今どきは不適切ととられかねない」として撤廃させた。愛知県教委は「学校側の対応は適切」と判断し、処分などは特に考えていないとしている。

 しかしこれは、詭弁ではないかといえる。

 形式上は生徒が自主的にルールを策定したかのように扱いながら、実際は教師主導で人権侵害同然の指導をおこなったことを、当時の生徒に責任転嫁しているとみられてもおかしくないものである。

 表向きはいくら生徒の自主性を尊重するということに見せかけても、人権侵害につながりかねないものには必要な対応をとっていく必要があるのではないか。学校側が、生徒間での人権侵害を放置・容認していたとみられてもおかしくないような形になっている。

(参考)
◎成績悪いサッカー部員は丸刈り 抗議受け「ルール」廃止(朝日新聞 2018/5/2)
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集