朝日新聞2018年5月10日付が『体罰顧問、部活に復帰 「成績」求める保護者会が要望』を配信している。

 記事によると、鹿児島県立川内商工高校(薩摩川内市)で、バレーボール部の元部員が顧問教諭から「体罰」・暴行を受けたと訴え、民事訴訟にもなっていた問題で、部員の保護者らが加害者教諭の顧問復帰を要望し、被害者元部員が知らないうちに顧問に復帰していたという。

「体罰」事件



 「体罰」・暴力事件は2015年に起きた。当時2年生だった被害生徒は、顧問教諭から平手打ちされて、口の中を切るなどした。また別の日には、練習中にケガをした生徒に対して、教諭は「痛い痛いと言ってあまちゃんが」などと暴言を吐くなどした。

 被害生徒は県内の遠隔地から入学して寮生活を送り、暴力被害を相談できる大人はいなかったという。体重の急激な減少など生徒の異変に別の教員が気づいたことで、「体罰」が発覚した。

 被害生徒は提訴し、2018年3月に和解した。

 加害教諭は一時顧問を外れ、2016年には減給処分を受けたものの、2017年度より顧問に復帰した。

成績のためなら暴力を軽視する体質



 加害教諭の行為は、悪質な暴行・虐待であり、人権侵害である。スポーツ指導の方法論としても間違っていることはいうまでもない。

 しかしそのような非科学的で感情的な行為でも、「部活の成績を上げるために必要」とばかりのおかしな勘違いで、顧問教諭の暴力行為を不問にした上で指導に復帰させようと図る動きも、あちこちで現れる。一部保護者やその競技の指導者仲間が、そういう動きを巻き起こす。

 そういう動きを起こすものは、暴力の事実を認めず「指導」扱いしているから、最初から最後まで話がかみ合わない。それどころか、暴力肯定の主義主張だから、被害者やその関係者への暴力的な中傷・嫌がらせはもちろん、暴力を批判する第三者にも平気で暴力的な攻撃を向ける。

 この事件に限らず、部活動やスポーツ指導者がらみの「体罰」事件・暴力事件では、このような被害者攻撃や加害者擁護がされることが珍しくない。

 これでは、一種のカルトといわれても仕方がないのではないか。

 暴力や人権侵害に頼るような自称「スポーツ指導」は、根絶させなければならない。
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