2018年夏の災害的な猛暑の問題。大阪市立幼稚園では、園児が1日の大半を過ごす保育室にエアコンがないという。そのことで児童の体調への不安が危惧されたり、「暑くて児童が弁当の食が進まない現象があった」という訴えなどもあるという。

 公明党大阪市議団は7月31日、市立幼稚園へのエアコン設置を求めて緊急要望をおこなった。

 吉村洋文大阪市長は8月2日の記者会見で、市立幼稚園のエアコン設置については、市立幼稚園民営化の問題と絡めて「与党の維新会派の意見を聞いた上で最終判断する」とする見解を示した。

[caption id="attachment_17640" align="aligncenter" width="300"]吉村洋文大阪市長(2018年8月2日) 記者会見する吉村洋文大阪市長(2018年8月2日)[/caption]

 吉村市長は、橋下徹前市長の「市立幼稚園民営化の方針を継承する」とした上で、「政策変更することになる。整理点が必要になる」とした。

 「幼稚園は義務教育ではない」「民間幼稚園と市立幼稚園を比較して、今でも市立幼稚園に税を圧倒的に投入している。さらに偏った税投入は反対」とする観点から市立幼稚園へのエアコン設置に否定的だった橋下の方針を受け継ぎながら、今年2018年の災害級の暑さは酷ではないかという思いもある、民営化に賛成してきた維新会派の意見を聞いて最終判断するとした。

 一方で2016年度~2017年度にかけて、遊戯室にはエアコンを整備したとも言及した。

幼稚園民営化の方針がネックに



 橋下時代に打ち出し現吉村市政でも継承されている、大阪市立幼稚園の民営化方針。これが思わぬところで影を落とすような形となっている。

 市立小中学校にエアコンをつけたのは橋下・維新市政だと一方的な宣伝をおこなっても(実際は維新よりも前の市政ですが)、市立幼稚園については「義務教育ではない」「民営化の方針がある」などとして消極的なことが、図らずも明らかになったということにもなる。

 維新の「民営化ありきで公立園の予算を減らす」「目立つところではパフォーマンス、目立たないところは放置」という政治的意向よりも、子どもが安心して生活できるような環境整備のほうが重要である。市立幼稚園民営化の方針についても見直していくべきだが、保育室へのエアコンについても早急に整備していくべきではないか。

※(続報)『大阪市立幼稚園保育室にエアコン設置へ、維新市政では従来は設置を否定』2018年8月8日

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