東京医科大学で女子受験生の得点が減点操作されて、女子の合格者数・比率を抑制していたとされる問題。

 この問題に関連して、女子受験生だけではなく、3浪以上の男子受験生についても得点を低く操作し、合格を抑制していたとも指摘されている。

 これらの点数操作については、臼井正彦前理事長(文科省汚職事件で起訴)自らが入試担当課長に指示し、「誰にもいうな」と口止めを図っていたとも報じられた。

点数操作の実態



 読売新聞の報道によると、2018年度入試では以下のような得点操作がおこなわれたという。

 一次試験の結果について、特定の男女受験生5人前後について加点措置をおこなった。

 また二次試験の小論文において、100点満点で採点した素点を全受験生について0.8倍に換算した上で、現役男子受験生および1・2浪男子受験生には20点加点、3浪男子受験生については10点加点、女子受験生全員と4浪以上の男子受験生については加点なしという措置をとり、補正後の点数で判定した。

 複雑な点数操作になっているが、女子全員と4浪以上の男子全員、また3浪男子のうち「素点-0.8をかけた後の点数」の差が10点以上になった受験生(元々の点数が50点以上の高得点者)への、実質的な減点操作という形になっている。

受験生の「属性」を理由にした差別は許されない



 大学入試の公正性を害するような形で得点調整をおこなっていたのは、受験生にとっては今後の人生設計を左右されかねないほどの重大な人権問題である。

 また大学入試では「大学で学ぶための基礎学力が身についているかどうか」ということが唯一の判定基準になるべきだし、その判定基準は公正でなければならない。「女性」「浪人生」という属性で点数を低く操作されて不利益を受けることは、あからさまな差別である。その意味でも許しがたい人権問題になっている。

(参考)
◎女子だけでなく、3浪の男子も抑制…東京医大(読売新聞 2018/8/5)
◎「誰にも言うな」前理事長が口止め…減点操作(読売新聞 2018/8/6)
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