大阪府教育庁は8月30日、2023年度をめどに府立と大阪市立の高校計8校程度を閉校させる方針案を教育委員会会議に提示した。

 以前にも、2013年度~2017年度までの5年間で府立と大阪市立あわせて8校前後の統廃合方針が出され、2018年時点では方針にめどが付いた状況だが、以前の方針に加えて新たに8校程度を減らすとしている。

 維新府政のもとで作られた教育条例により、「3年連続定員割れの高校は統廃合」の方針を引き続き適用するとしている。

勝山高校を統廃合対象校に



 大阪府教育庁では第一弾として、大阪府立勝山高校(大阪市生野区)を2019年度に募集停止とする方針を検討している。同校では2016年度以降3年連続で定員割れの状態が続き、募集停止の対象になる可能性が指摘されてきた。

 また多様で柔軟な教育の需要が高まっているとして、多部制単位制・定時制・通信制課程を持つ大阪府立桃谷高校(大阪市生野区)の多部制単位制課程を分割する形で、2020年度以降に現勝山高校敷地に新高校を開設する方向性も打ち出した。

 残る7校については現時点では具体的な校名は挙がっていないが、志願状況などを見極めて決めるとしている。

統廃合には慎重な検討が必要



 維新府政のもとでの度重なる高校入試改悪――学区広域化からの廃止、「3年連続定員割れの高校は統廃合対象」方針、など――によって、学校間の競争は激化した。

 一方で大阪府では2009年度、不況の影響で公立高校への入学志願者が殺到し、二次募集・定時制募集を経ても行き場がなかった受験生が生まれるなどした。そのことを踏まえて、大阪府の公立高校入試では定員を多めに設定するようになった。すなわち、「定員割れ」が生じるのは必然的ということになる。

 また「定員割れ」が必ずしも「悪い学校」と短絡的に決めつけられるというわけでもない。それぞれの学校では、それぞれの生徒の状況に応じて教育がおこなわれている。これまで統廃合の対象となった学校の生徒や保護者からも「この学校に通えたことで、教師がていねいに対応してくれた。勉強がわかるようになった」などの声なども寄せられている。

 それぞれの学校の状況を無視して、維新府政のもとで「3年連続定員割れだから閉校」という方針を機械的に押しつけるのは、正しくないのではないかといえる。

(参考)
◎大阪の公立8高校閉校へ 少子化で、2023年度までに(朝日新聞 2018/8/30)
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