日本体育大学の陸上部で、渡辺正昭・駅伝監督(55)が学生部員に対してパワハラ行為をおこない、被害学生2人が退部に追い込まれていたことがわかった。

 日体大は事態を把握し、調査を始めた。

日体大パワハラ事件の概要



 渡辺氏は2015年に日体大監督に就任した。

 報道によると渡辺氏は、▼練習途中についていけなくなった学生に対し、伴走車の中から「ひき殺すぞ」などと罵声を浴びせる。▼練習中に脱水症状を発症した部員がいた際、その部員を救護しようとした別の部員に対して「余計なことをするな」と罵声を浴びせながら蹴りを入れる。▼ケガをした部員に「ざまあみろ」と中傷する。▼特定部員の練習参加を認めない。――といった行為を日常的に繰り返したという。

過去にも同様の事件を起こした経歴



 渡辺氏は2013年まで愛知県立豊川工業高校保健体育科教諭・陸上部顧問だった。陸上部の指導でも、▼低血糖の症状を発症した生徒を殴りつける。▼部員をデッキブラシで殴ってケガを負わせる。▼「死に追い込んでやる」などと暴言を吐きながら暴行。――といった行為を長期間にわたって繰り返し、複数の部員を不登校や退学に追い込んでいたことが発覚し、愛知県教育委員会から停職4ヶ月の処分を受けた。

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 渡辺氏はその直後に依願退職したが、豊川工業高校陸上部の一部部員を「私塾」の形で1年間指導していた。2014年より日体荏原高校(東京都)に採用され、2015年より日体大監督になった。

 恐れていたことが起きた形になった。愛知県立高校時代の「体罰」・暴力行為を不問にしたまま、「強豪校を育てた実績」だけで採用したことで、同様の行為を繰り返したということになる。

 豊川工業高校時代の件も日体大の件も、明らかなパワハラであり、極めて悪質な人権侵害である。

 そもそも日体大がこのような人物を採用したという2014年時点の判断が正しかったのか。その根本から問われなければならない。また部員へのパワハラについても、詳細を徹底的に明らかにした上で、当該者への厳しい処分と再発防止策をとる必要がある。
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