2019年度より使用される中学校道徳教科書の採択状況について、「子どもと教科書全国ネット21」の集計によると、9月17日までに採択状況が判明した採択地区のうち「日本教科書」の採択は3地区にとどまると指摘されている。

 『しんぶん赤旗』2018年9月24日付『日本教科書の道徳教科書 採択は3地区のみ』が報じている。

採択状況



 「子どもと教科書全国ネット21」によると、全国584採択地区中、9月17日までに同会が採択結果を把握したのは479地区。

 「日本教科書」は、栃木県大田原市・石川県小松市・石川県加賀市の3採択地区のみになっているという。採択率は全体の0.6%にとどまり、最下位となった。

 中学校道徳教科書には8社が参入したが、もっとも採択率が高かったのは東京書籍(35.1%、採択状況判明分のうち168地区)だった。

「日本教科書」の危険性



 「日本教科書」会社設立の背景について、『しんぶん赤旗』記事では、「安倍晋三首相の政策ブレーン」の八木秀次氏(麗澤大学教授)が当初の代表取締役となっていたことや、登記簿上での代表取締役の武田義輝氏は「侵略戦争を正当化し、韓国を誹謗中傷した『マンガ嫌韓流』を出版した「晋遊舎」の会長と同一人物」ということを指摘している。

 教科書の中身についても、長時間過密労働の正当化と受け取れる教材、ジェンダー・ロールの押しつけと受け取れる教材など、極端な内容が目立つ。

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 また生徒に到達度を数値で自己評価させることで、特定の価値観を生徒に押しつけ、生徒の内心に踏み込んで統制する危険性がより高いとも指摘されている。

 もとより道徳を教科化し成績評定をおこなうということ自体、多かれ少なかれ特定の価値観押しつけにつながる危険性があるものではあるが、日本教科書の方向性は特にひどい。

 道徳教育のあり方そのものについてという根本的な問題から改善を求めると同時に、教科書や授業についても、次回の教科書採択も見据えながら、世論を広げていく必要があるだろう。

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