2018年10月2日に発足した第4次安倍改造内閣。この日に就任した柴山昌彦・新文科相は同日の就任会見で、教育勅語について「現代的アレンジは検討に値する」と肯定的に扱う見解を述べた。

 柴山氏は以下のように発言したという。
「(教育勅語を)アレンジをした形で、今の例えば道徳等に使うことができる分野は、私は十分にあるという意味では、普遍性を持っている部分が見て取れる」

「同胞を大事にするなどの基本的な内容について現代的にアレンジして教えていこうという動きがあり、検討に値する」

 安倍内閣の極右的・教育勅語肯定的な動きを体現するような登用になっている。

 教育勅語については、天皇を中心とする国という思想の元で、戦前に戦争推進の思想的支柱の一つとなったという背景から、戦後社会の教育には相容れないとして廃止されたものである。終戦直後の文部省令で教育勅語的な教育を排除したのち、1947年教育基本法の施行で効力を失った。さらに、通常の法律の廃止手続きの際にはしないような、国会での排除・失効確認決議(1948年6月)という異例の決議までおこなっている。

 歴史学習で当時の時代背景を理解するための史料としての扱いならともかく、現代でも通用する普遍的な内容扱いすること自体、ありえないことである。

 教育勅語の徳目をあげて「普遍的な道徳」と強弁する動きも、極右派の間に根強くある。しかしこの徳目はいずれも「いざというときには天皇に尽くせ。そのための準備」として示されたものであり、しかもそれは時代や地域を越えて永久不変の真理であると説いたものである。そのようなものは、現代社会の到達点から見ると、過去にすでに否定されたものである。

 こんなものを「現代的アレンジ」しても、過去に否定されている内容の蒸し返しにしかならない。極めて危険な動きであるといっていい。

[amazon asin="4406061762" kw="教育勅語を読んだことのないあなたへ―なぜ何度も話題になるのか"]
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集