文部科学省のいじめ防止対策協議会は10月29日の会合で、重大ないじめ事案の発生に伴って設置される第三者委員会の報告書を国としても収集・分析する方針を決定した。

 いじめの認知件数は約41万件(2017年度)となり過去最多となっている。うち自殺など深刻な事態につながると判断された「重大案件」は474件(前年比78件増)となった。

 一方で、第三者委員会の設置件数や詳しい内容については、民間団体の調査では少なくとも69件が設置されたと指摘しているものの、文科省としては詳細に把握しておらず、明確な調査内容もないとしている。

 重大案件を減らすためには、第三者委員会の調査・報告内容を文科省としても収集して分析する必要があるとして、このような提起に至った。

 「重大案件」に該当するようないじめでの第三者委員会については、各地方自治体の教育委員会の発表やマスコミ報道などを通じて情報が入ることもある。しかしその一方で、全国的な状況については系統的な情報収集・調査・分析の体制がなかったというのも驚きである。

 いじめについては、発見時の対応が重要である。早期解決につながるような対応のパターンもあるし、逆に「おかしな介入をして不要にこじらせる」場合や、最悪の場合には「学校側はいじめ加害者に加勢してあおっている」と受け止められてもおかしくないような対応をしている場合すらある。いじめ発見時に個別当該事件の状況を的確に分析し、対応を検討することが、いじめ事件のその後を左右することになる。その際に参考になるのが、過去のいじめ問題の事例の情報収集・分析によって見えてくる事例解析ではないか。

 各地の第三者委員会で得られた分析・知見が共有されていないというのなら、同じようないじめ事件の発生にもつながってしまうことにもなる。情報の集積・分析・共有も、問題への対応に必要だといえる。
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