東京医科大学は12月29日、不正入試問題について、第三者委員会の最終調査報告書を公表した。

不正な得点操作



 女子受験生や浪人回数の多い受験生の点数を低く補正する得点調整の結果、本来なら合格ラインに達していた受験生が、2013年度~16年度に計109人(女子66人、男子43人)いたことを明らかにした。

 2017年度・18年度については不正に不合格にされた受験生が101人いることが、すでに明らかになっている。今回の発表とあわせて、6年間で210人の受験生が不正に不合格にされていたことになる。

他にも不正疑惑が



 報告書では、個別に優遇された受験生がいたことも認定された。優遇された受験生は、保護者から通常以上の寄付や謝礼などがあった疑惑が浮上している。

 また、前理事長の資料の中からは、国会議員や政治家と思われる者の名前が見つかったという。「国会議員に受験生の名前と受験番号を記したファックスを送った。その資料を理事長が持っていた」などとする証言も得られたともされている。

 さらに、試験問題漏洩疑惑も指摘されている。調査委員会では、予備校で「試験問題が事前に手に入った」と話していた受験生がいたとの情報を把握した。その受験生の受験時の成績を精査すると、小論文では全受験生のトップだったという。一方で大学関係者は、試験漏洩を否定している。調査委員会では試験漏洩があったかどうかについては結論を避け、「問題指摘にとどめ、判断は留保する」とした。

多くのところに飛び火



 性別や年齢による差別、寄付額による待遇の差や政治家の口ききもうかがわれるような特定受験生への優遇、試験問題漏洩疑惑と、どれか一つだけでも重大問題になるものを、同時並行でいくつもおこなっていたという驚愕の内容である。

 問題の根は深い。このような不正によって、受験生の人生が大きく変えられてしまうことになるということに、思いをいたさなかったのだろうか。
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