参議院文教科学委員会で12月5日、学校での生徒指導の問題が取り上げられた。

 吉良よし子参議院議員(日本共産党)は、大阪府立懐風館高校での「黒染め強要」訴訟の問題を取り上げた。報道の内容を紹介した上で、「地毛の黒染めを強要は教育現場で絶対にやってはならない」「人格が尊重された指導とはいえないと思う」「生徒を名簿から外し、席をなくし、学校に来るなと軽々しく発言するようなことはあってはならない」と訴え、林芳正文科相の見解を求めた。



 林文科相は「係争中であり個別の事案は差し控える」とする一方で、「一般論としては、生徒の生まれ持った個性を尊重することは当然」する見解を述べた。

 吉良議員は、学校での校則のあり方についても質問をおこなった。「黒染め強要」問題については、著名人のツイッターでの発信や海外メディアからも批判的な見解が相次いだことや、小野田正利大阪大学大学院教授(教育学)の「頭髪指導は1970年代・80年代の生徒を抑え込む指導から始まっている」とする見解を紹介し、「校則が今の時代、児童生徒の実情に合っているのか」と疑問を提起した。

 林文科相は、個別の事例については差し控えるとしながら、一般論として「校則についても社会通念に照らして合理的の範囲内で、生徒自身が内面的自主的に守っていくように指導することが重要」「時代背景を踏まえて生徒が納得できるような校則にすることが必要」とする見解を述べた。

 吉良議員は「校則のあり方を生徒自身が考えることは、主権者意識の醸成にもつながる」と訴え、生徒が自ら主権者として行動できるようにできる対応を求めた。

 この問題については、文科省は「個別の問題については言及を差し控える」としながらも、一般論としては大阪府の学校で起きたような事例を否定できないということになる。

 前時代的なやり方をそのまま引き継いだ管理主義的な学校運営や校則ではなく、現代の到達点に基づいて、子どもの権利条約や主権者教育を軸にした新たな時代のあり方が検討されるべきという視点は、重要ではないか。
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