谷田みさお・京都府井手町議(日本共産党)は11月13日、町立小中学校の入学式・卒業式に来賓として出席した際「君が代」斉唱時に起立しなかったとして、町教育長の意を受けた校長から「起立しないなら今後来賓として招待しない」と通告されるなどして人権侵害を受けたとして、京都弁護士会に人権救済の申立をおこなった。また申立後に声明を発表した。




 人権救済の申し立ての対象となった相手方は、松田定・井手町教育長と、井手町立泉ヶ丘中学校校長、井手町立多賀小学校校長の3人。

 声明によると、2017年9月19日の井手町議会9月議会で、村田忠文井手町議(無所属)が「小中学校の入学式・卒業式で『君が代』斉唱時に起立しない議員」についての議会質問をおこなった。松田定教育長は「残念・遺憾」などとする答弁をおこなった。教育長はさらに、小中学校校長らに「適切な対応」をするよう指示した。

 校長らは教育長の指示を受け、2017年10月24日に谷田町議に対して、「君が代」斉唱時に起立するよう要求した。また次の卒業式・入学式の際は起立するかどうかと思想調査とも受け取れる質問をおこなった上で、「起立するという回答をいただけない場合は、今後来賓として招待しない」と通告をおこなった。

 谷田町議は、国旗国歌法でも起立斉唱の義務を課されるものではないにもかかわらず強制させられるのは、思想信条の自由に反することを指摘した。

 また井手町では町議会議員をはじめ地域の役職者が来賓として招待されてほぼすべてが出席していることで、ともに子どもの成長を祝うことは地域の役職者の重大な任務と見なされているにもかかわらず、「君が代」を理由に排除されることは保護者・教職員・地域とともに子どもを祝うという場から排除されることになり精神的苦痛、出席させられないことによって町議会議員の職務怠慢と誤解されかねないなど、大きな不利益を被ると訴えている。

 このような人権侵害が横行すれば、「日の丸」・君が代への態度によって町の他の行事からも排除されかねないこと、また自分自身だけではなく他の児童生徒・保護者・教職員も同じような手段で排除される危険性があることも指摘している。

 谷田町議は教育長と校長に対して、議会答弁とそれを受けた起立要求の撤回と謝罪を求めている。

 声明の内容で指摘されていることは、「日の丸・君が代」の強制が行き着くところが、このような恐怖の状態になるということを示していることになる。

 「君が代」起立斉唱を強制することで、強制する側にとって都合のいい人物とそうでない人物を選別し、意に沿わない人物を排除する口実にしていることになる。

 強制させようとする側は従来、教職員は職務命令に従う義務があるという口実で、主に教職員に対して強制を推進してきた。教職員への強制からして根拠がないものであるが、今回の件が示すように、強制推進の行き着くところは、児童生徒・保護者・来賓も含めた出席者全員への統制ということにもなる。ここには、学校行事や学校教育の観点は全くないということになる。

 この事件は一自治体のものにとどまらず、日本全国に影響する問題でもある。人権侵犯事件としてしかるべき対応がとられ、誤った「強要」「排除」が撤回されるよう、強く求めるものである。
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