埼玉県北本市立中学校の男性教諭が、匿名のツイッターで男子生徒になりすまして勤務校の生徒を中傷する「ネットいじめ」行為をおこなっていた疑惑がマスコミ報道されている。

 産経新聞2017年12月8日『埼玉の市立中男性教員が生徒になりすましツイート 女子に「顔で損してる」』の報道によると、ツイッターでの書き込みは遅くとも2017年9月頃から始まったという。特定の女子生徒の容姿を中傷する書き込みを繰り返したり、わいせつな内容の書き込みがあったとされる。

 2017年10月には、結果公表前の生徒会役員選挙について、結果を公表するような書き込みがあった。そのことでツイッターの書き込みは、生徒会担当の教諭、もしくは生徒会の選挙管理委員会担当の生徒ではないかという疑惑が浮かび上がった。

 2017年11月には、この教諭が数名の生徒しかいない場所で話した内容がツイッターにアップされた。そのため、容姿を中傷された女子生徒を含む複数の生徒が、ツイッターでの書き込みは教諭のしわざではないかと強く疑い、11月下旬に教諭を問いただした。

 教諭は書き込みを否定したが、その翌日から「体調不良」を理由に欠勤しているという。

 生徒からの苦情を受けて学校側が調査を開始している。学校側は、ツイッターの書き込みは教諭のしわざでほぼ間違いないと判断し、生徒向けの説明会でもそのように話したという。

 しかしひどい話である。被害に遭った女子生徒を標的にした理由については現時点の報道の範囲では不明だが、これでは悪質なネットいじめを、教師自らがおこなっているということになる。

 中傷書き込みをおこなった加害者の側は別人になりすましながらも、執拗に中傷を繰り返したことで逆に状況証拠が積み重なった形になり、加害者はこの人物以外には考えにくいという状況を自ら生み出した形になっている。

 そもそも、他人への中傷・人権侵害などは、リアルでも表だって公然といえないものであるし、ネットでも言ってもいけないものである。ネットで匿名だからばれないと思っていても足が付くということにもなる。

 しかも今回の埼玉県で起きた問題は、加害者が教師で、被害者がその学校の生徒。いじめに対応する側の教師が、自ら率先していじめをおこなっているという、とんでもないことになっている。

 埼玉県の教師がなぜこのようないじめ・中傷行為をおこなったのか、今後詳細に解明した上で、厳しい対応をとっていく必要がある。



過去にも「教師によるネットいじめ事件」



 教師によるネットいじめ事件といえば、過去にも発生している。

 例えば、千葉県浦安市の小学校教師が起こした教え子への性的虐待事件「浦安事件」がある。

 千葉県浦安市の小学校で2003年、養護学級担任だった男性教諭が担当クラスの知的障害児に性的虐待行為を繰り返したものである。教諭は2004年に逮捕・起訴されたが、「被害者と称する児童の証言は、知的障害児だから信用できない。保護者や支援者が児童にあることないことを吹き込んでいる」と中傷して逃げようとした。

 刑事裁判では、性的虐待事件そのものはあったと強くうかがわれるが、立件され公判対象となった事件については場所と時間がはっきりと特定できなかったと判断したとして「99%グレーだが手続き上無罪にしなければ仕方がない」という形で一度有罪は免れた。しかし、被害者が起こした民事訴訟では、刑事訴訟では十分に認定できなかった教諭の性的虐待行為をほぼ全面的に認定する形で2010年に被害者側勝訴判決が確定し、加害者は損害賠償金を支払っている。

 この事件に関して、事件発覚直後から、被害者の氏名や自宅住所など個人情報が晒されるようなネットでの書き込みで繰り返されたという。

 また民事訴訟が進行中の2009年頃には、事件は冤罪とする被害者中傷ブログが作られた。当該ブログの作成者は完全匿名を貫いていた。しかし事件について、加害者教師本人や本人から情報を得た人物しか知り得ないと思われる情報(第三者がそこまで詳細な状況設定を作ってまで中傷する理由に乏しいと考えられるもの)も交えながら、事件被害者や支援者を執拗に中傷していた。たまたま当ブログで訴訟の進行を報じた報道の感想を書いたエントリを上げていたことが中傷ブログ作成者の目にとまったのか、当ブログも執拗に中傷された。

 被害者中傷ブログは、千葉県八千代市の人物が運営すると称する写真販売のネットショップと相互リンクしていた。加害者教師は事件後依願退職して「フリーで写真の仕事をしている」という情報があること、また事件当時報道された加害者教師の氏名と住所がネットショップの運営者の氏名・住所と全く一致すること、民事訴訟の判決日前後にはネットショップが一時閉鎖されていたことなどの状況証拠もある。

http://www.geocities.jp/kyouiku_hiroba/essay/urayasu-jiken-bogai2.html

 これらのことから、「浦安事件」での被害者中傷ブログは、性的虐待事件を起こした元教師が何らかの形で関与していることが強くうかがわれている。